やや春らしい気候になり、花粉症の方にとっては花粉が厳しい季節となってまいりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
なんばみなとメンタルクリニック医師の宮里です。
本日は以前私が、寄稿致しました、摂食障害に関するコラムを転載させていただきます。
~摂食障害について~
今回は摂食障害についてのお話です。1970年代にカーペンターズのカレン・カーペンターがこの病気に罹り、世間の知るところとなりました。
みなさんは摂食障害というと、痩せ細って骨と皮近くなっている状態を想像されるかもしれません。しかし、最近になって増えてきているのは、ブリミアと呼ばれる拒食や過食または過食嘔吐などを繰り返すタイプの摂食障害です。正確には標準体重の85%以下である場合をアノレキシア、85%以上の場合をブリミアと呼びます。
いずれにせよ体重や体系、食事のことに頭の中が支配されてしまい、身体的健康や社会的活動などに著しく支障を来たしているということが病気の根幹にあります。ブリミアにおいても多くの場合はもともと拒食の時期があり、その後過食や拒食を繰り返すようになることが大半です。
ミネソタスタディという有名な研究があります。これは1940年代、アメリカで36人の兵士が軍役を逃れる代わりに、極度の摂食実験に参加したものです。6ヶ月の間半飢餓状態の中で生活し、続く3か月の間にゆっくりと体重を戻していきました。しかし実験が終わったあとも、体温低下や浮腫などの身体機能の変化とともに、いつも食事のことを考え、気分も晴れず、怒りっぽくなるなどや、参加した全員が食事に対してコントロールを欠くようになり、十分な食事をとっても満たされず、むちゃ食いをしてしまうなど、摂食障害に類似した症状が兵士たちに認められるようになりました。
今日、紙面やテレビではダイエットという言葉を見ない日はないというくらい頻繁に目にしますが、やはり角のダイエットは身体的にも精神的にもよろしくないということです。
多くは語れないので、もう一点ですが、やはり食事というのは家族や友人または仕事仲間とのコミュニケーションの重要な機会であるということです。摂食障害の患者さんの多くは人と一緒に食事することを拒みます。その結果、余計に他者と社会的なつながりを持つ機会を逃してしまい、さらに頭の中が食事と体重のことに支配されていくという悪循環に陥ります。
多くの依存症といわれる病気全般に言えることですが、病気により、仕事であったり、友人関係であったり、外とのつながりを犠牲にしないということは1つの重要なポイントになると思います。最後になりますが、食事というのはやはりみんなで楽しんで行うべきものであるというのが、私の意見です。
それでは。